白髪の原因や予防・対策は?黒髪に戻す方法と気を付けたい病気も紹介

白髪の原因や予防・対策は?黒髪に戻す方法と気を付けたい病気も紹介

「最近白髪が増えてきた気がする」
「心当たりはないんだけど、どうして?」

白髪を発見すると、このような気持ちになってしまいますよね。
見た目年齢を一気に引き上げてしまう白髪は、多くの人にとって悩みの種といえるでしょう。

本記事では「白髪をなんとかしたい」というあなたに向けて、以下の点を解説します。

この記事でわかること
  • 白髪になる6つの要因
  • 白髪が急に増えたときに疑われる病気
  • 日常生活で意識したい白髪予防・対策

白髪に関するあらゆる情報が手に入り、具体的に「どうすればいいか」がわかるようになるため、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者

中川陽子
中川陽子薬剤師・医学修士
北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。

白髪になるメカニズムは?「色素細胞」が関係している!

髪には3つの層があります。

  • メデュラ:3層構造になっている毛髪の中心部分で「毛髄質」とも呼ばれる
  • コルテックス:3層構造になっている毛髪の中間層部分で「毛皮質」とも呼ばれる
  • キューティクル3層構造になっている毛髪の外側部分で「毛表皮」とも呼ばれる

中心部にメデュラがあり、そのうちをコルテックスが囲っていて、キューティクルが守っているようなイメージです。
メデュラとコルテックスとキューティクル
髪が黒く見えているのは、このうちコルテックスに含まれるメラニンという色素の働きによるものです。

メラニンは髪の根元にある「メラノサイト」という色素細胞の中で、アミノ酸の一種「チロシン」を原料に「チロシナーゼ」という酵素の作用で生成されます。
メラニンの量が多いと髪は黒く、少ないと白く見えます。

つまり、白髪とは髪に含まれるメラニンの量が少ない・ほとんどなくなった状態を指しているのです。

白髪になる6つの要因

白髪になる要因として、主に次の6つが挙げられます。

  • 老化
  • 遺伝
  • 生活習慣
  • ストレス
  • 妊娠、出産
  • 病気

それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。

老化

老化によってメラノサイトの働きが低下すると、十分な量のメラニンが作られなくなり、白髪になってしまいます。

早い人では、35歳頃から白髪が生え始めるケースもあるとされています。
株式会社NEXERによれば、約15%の方が40歳未満で白髪を気にしはじめているのです。
白髪と年齢
出典:ファストレンド

また、2023年4月の最新論文では

メラノサイト幹細胞 (McSC) システムは他の成体幹細胞集団よりも早く機能しなくなり、ほとんどのヒトとマウスで白髪が発生します。
ここでは、ほとんどのMcSCが、自己再生と成熟した子孫の生成の両方のためにトランジット増幅状態と幹細胞状態を切り替えることを示しています。。ライブ イメージングと単一細胞 RNA 配列決定により、McSC は可動性があり、毛包幹細胞とトランジット増幅コンパートメントの間を移動し、局所的な微小環境の手がかり (WNT など) によって支配される異なる分化状態に可逆的に入ることが明らかになりました。

出典:https://www.nature.com/articles/s41586-023-05960-6

あくまでもマウスでの研究ですが
メラニンを作成する幹細胞はできていても、毛根まで運ぶシステムが詰まり髪を黒くする機関にシグナルが伝わらず白髪になる。一旦シグナルを休止しても再度シグナルを受け取ることでメラニン色素を再生することができる。
そのため
その運ぶシステムを流すことができれば再び黒髪に戻すことができる可能性があります。

遺伝

遺伝的に白髪になりやすい人も存在します。
白髪は黒髪と比較してメラノサイトの生存や維持、そして髪を黒くするために大切な働きを持つ遺伝子の発現量が低下していることが示唆されているのです。

また、先天的に色素を形成する能力のない人も、メラニン色素の欠乏により白髪になると考えられています。

生活習慣

生活習慣の乱れや運動不足、喫煙、紫外線の浴びすぎなども白髪の原因であると言われています。
生活習慣が乱れて食生活が偏ると、メラノサイトに十分な栄養が行き渡らなくなり、メラニンを生成する能力が低下するのです。

また、運動不足や喫煙により頭皮が血行不良の状態に陥ることでも、メラノサイトの働きは鈍くなります。
さらに、陽射しが強いときでも日傘や帽子で頭部を保護せず、大量の紫外線を浴び続けると、メラノサイトがダメージを受けて白髪になりやすいと言われています。

ストレス

「強いストレスを受けた人が一夜のうちに白髪になった」
このような話は極端ですが、ストレスも白髪と無関係ではありません。

人間の体は、ストレスを感じると交感神経が優位になります。
交感神経には血管を収縮させる働きがあるため、ストレス状態が続くと全身の血行が滞ってしまいます。

メラニンの生成に欠かせないチロシンやチロシナーゼは、血液によってメラノサイトまで運ばれます。
血行が悪くなるとそれらの物質がメラノサイトに届きにくくなり、十分な量のメラニンが生成されなくなってしまいます。
そのため、ストレスの多い人は白髪になりやすいと言えるのです。

妊娠・出産

妊娠中、女性ホルモンは普段の100~1,000倍にまで増えます。
女性ホルモンには髪の健康を保つ働きがあるため、妊娠中は髪が抜けにくくなるとされています。
しかし、出産と同時に女性ホルモンは急激に減少し、脱毛や白髪などが発生するケースがあるのです。
エストロゲンの分泌量
出典:PR TIMES

また、出産直後は育児でストレスが溜まりやすくなる傾向にあります。
産後うつという言葉があるように、精神に影響を及ぼす恐れもあるほどです。
前述のようにストレスは頭皮の血行不良を引き起こすため、育児が原因で白髪が増えることもあるでしょう。

病気

病気が原因で白髪になるケースも存在します。
白髪を増やしかねない病気は以下のとおりです。

  • 尋常性白斑
  • 甲状腺機能低下症
  • 腎不全
  • 原田病

これらの病気が原因となっている場合は白髪だけでなく、その他の症状も現れるケースが多いと考えられます。
原因不明の体調不良とともに白髪が増えて来たときは、病気の可能性も考えて医療機関を受診することをオススメします。

白髪が急に増えた時は要注意!病気の可能性も…

前述したように、白髪が急に増えたときは何らかの病気が原因となっている可能性があります。
注意すべき病気について詳しく解説します。

尋常性白斑

尋常性白斑とは皮膚の色が一部抜けて白くなった状態を指します。
症状は全身に見られますが、頭皮に出来た場合はその部分の髪が白髪になるのが特徴です。

尋常性白斑は後天的に発症する病気で、幼児から高齢者までさまざまな年代に見られ、比較的若年層での発症が多いとされています。
尋常性白斑の原因はメラノサイトの消失・減少と考えられていますが、なぜメラノサイトが消失・減少してしまうのかは明らかにされていません。
遺伝・自己免疫疾患・ストレスなどが影響すると考えられています。

尋常性白斑に対しては次のような治療が行われます。

  • ステロイド外用療法
  • 免疫抑制剤(タクロリムスなど)外用療法
  • 紫外線療法
  • 吸引水疱蓋表皮移植術、ミニグラフト
  • カバーマーク

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、甲状腺の機能が低下することで甲状腺ホルモンの分泌が十分に行われなくなる病気です。

甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発にする作用があります。
そのため、甲状腺ホルモンの分泌量が減少すると、全身の代謝が低下してさまざまな症状を引き起こすのです。

甲状腺機能低下症の症状としては、白髪以外に次のようなものが挙げられます。

  • 白髪
  • 脱毛
  • 乾燥
  • むくみ
  • 便秘
  • 疲労感
  • 眠気
  • 記憶障害
  • 抑うつ
  • 無気力
  • 体重増加

甲状腺機能低下症に対しては、レボチロキシンという内服薬を用いた治療が行われます。
甲状腺ホルモン製剤のレボチロキシンを内服することで不足した甲状腺ホルモンが補われ、症状を緩和する効果が期待できるとされているのです。

腎不全

腎不全とは、腎臓の機能が低下して血液中の老廃物を十分にろ過・排泄できなくなった状態を指します。
全身の臓器が機能障害を起こしてさまざまな症状が現れるのが、腎不全の特徴です。
髪の正常な成長も妨げられ、メラノサイトの働きが低下して白髪が増加します。

腎不全には2種類あります。

  • 急性腎不全
  • 慢性腎不全

急性腎不全は短期間のうちに腎機能が著しく低下した状態です。
薬剤・脱水・ショック状態、細菌感染などが原因として考えられます。
一方、慢性腎不全は数ヶ月から数年かけて少しずつ腎機能が低下した状態です。

腎不全の症状としては、白髪以外に次のようなものが挙げられます。

  • 尿の出が悪くなる、出なくなる
  • 夜間の尿の量の増加(※慢性腎臓病の場合)
  • むくみ
  • 疲労
  • 息切れ
  • かゆみ
  • 食欲不振
  • 貧血
  • 高血圧
  • 意識障害

腎不全の治療法は、急性腎不全と慢性腎不全で異なります。
急性腎不全の場合は、腎機能が低下した原因を取り除いた上で、薬物療法や食事療法を行うのが一般的です。
慢性腎不全の場合も薬物療法・食事療法が基本となりますが、治療によって腎機能を完全に回復させるのは難しいとされています。

原田病

原田病は両目に網膜剥離が生じて目が見えづらくなる自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、危険な異物から体を守るための免疫システムが、何らかの原因で正常な細胞を攻撃してしまう病気です。
原田病ではメラノサイトが標的となるため、目だけでなく髪・耳・皮膚などにも症状が現れます。

原田病の症状としては、白髪以外に次のようなものが挙げられます。

  • 頭痛
  • めまい
  • 倦怠感
  • 難聴
  • 皮膚の白斑
  • 目の充血、かすみ、目の奥の痛み
  • 視界がまぶしく感じる
  • 視力の低下

原田病の治療で用いられるのがステロイドです。
初期の段階でステロイド治療を行えば、多くのケースで治癒が期待できますが、3〜5人に1人の割合で再発する可能性があります。

白髪を黒髪に戻すことはできる?

原因によって異なります。

老化や遺伝などの影響でメラノサイトが減少し、メラニン色素が作られなくなったことで起きる白髪を「欠失型白髪」と言います。
欠失型白髪の場合、再び黒髪に戻すのは難しく、白髪染めなどで対応するケースが多いです。

一方、10代・20代・30代のような若年での白髪は、生活習慣やストレスによる「休止型白髪」の可能性があります。
この場合、白髪の原因を取り除くことで黒髪を取り戻せるケースもあるでしょう。

欠失型が頭髪にぽつぽつ白髪が混じるように増えてくるのに対して、休止型は部分的に白髪が増えていく特徴があります。
若年層でこのような特徴が見られる場合は、休止型白髪と考えて良いでしょう。

なお、よく「若白髪はハゲない」などと言われますが、そのような事実はありません。
詳しくは下の記事をご覧ください。

日常生活で意識したい白髪予防・対策!

髪に良い生活習慣や食生活を心がけることで、白髪になりにくい身体づくりを目指せます。
白髪の予防にオススメの対策は以下のとおりです。

  • 髪の健康を考えた食事を摂る
  • 自分に合った方法でストレスを解消する
  • 白髪は生えても抜かずにカラーで対処する
  • 頭皮に紫外線が当たらないようにする
  • 髪頭を洗い過ぎない
  • 頭皮ケアで頭皮を健康な状態に保つ

それぞれ解説します。

髪の健康を考えた食事を摂る

髪の健康を考えた食事を摂ることは、白髪の予防につながります。
おすすめの食材は以下の3つです。

  • 黒ゴマ
  • 海藻類
  • チーズ

黒ゴマには、代謝を促すビタミンB2、頭皮の血流を改善するビタミンE、頭皮の健康を維持するビオチンなどの栄養素が含まれています。
また、「髪に良い」というイメージがある海藻類は、ビタミンB群や、抗酸化作用を持つカロテン、髪や頭皮の健康に欠かせない亜鉛などを豊富に含む食材です。
そして、チーズには髪の元になるタンパク質やビタミンB2などが多く含まれており、積極的に摂ることで健康的な髪の維持につながります。

一方、糖分や刺激物の多い食生活は白髪のリスクを高めるため、摂り過ぎには注意が必要です。
おすすめの食べ物に関しては、下の記事でも紹介しています。

自分に合った方法でストレスを解消する

自分に合った方法でストレスを解消することも、白髪対策にとっては重要です。
上述したとおり、ストレスも白髪の原因になりかねません。

なかでも、ヘッドスパや頭皮マッサージなどは頭皮の血流を促進する効果があるため、ストレス解消方法としておすすめです。
ウォーキングやジョギングなどの軽い運動や入浴も血行改善につながります。

さらに、しっかり睡眠をとることも白髪の予防や改善には効果的です。
睡眠中に分泌される成長ホルモンには髪や頭皮の健康を保つ働きがあるため、ストレス解消と同時に白髪対策としても有効でしょう。

白髪は生えても抜かずにカラーで対処する

白髪はどうしても目立ちやすい傾向があります。
しかし、気になるからといって抜いてしまうのはNGです。
白髪を抜いても、次に生えてくるのはまた白髪なので、堂々巡りになってしまいます。

また、繰り返し抜いているうちに毛根がダメージを受け、その部分の髪が生えなくなってしまう恐れもあります。
さらに、白髪を抜いたつもりが、誤って周囲の黒髪まで抜いてしまう可能性も否めません。

白髪が生えてきたら、抜かずにカラーで対処すると良いでしょう。
市販の白髪染めでも気軽にカラーリングすることが可能です。
「白髪染めするとハゲるんじゃ…」と心配する方もいるでしょうが、そのようなことはありません。
詳しくは下の記事をご覧ください。

【毛髪診断士監修】白髪染めすると薄毛になる?抜け毛を抑えるおすすめの方法3選

頭皮に紫外線が当たらないようにする

頭皮に紫外線が当たると、皮脂が酸化します。
酸化した皮脂は、頭皮の老化を促進する原因の一つになります。
毛根のメラノサイトにまで悪影響が及ぶと、メラニン色素が生成されなくなり、白髪になってしまうと考えられているのです。

頭皮を紫外線から守るためには、日傘や帽子、UVアイテムなどが効果的です。
帽子をかぶる場合は、通気性がよい麦わら帽などを選びましょう。

また、紫外線が強い季節は、頭皮用の美容液でアフターケアを行うこともオススメです。
頭皮にしっかり潤いと栄養を与えることで、白髪を予防する効果が期待できます。

頭髪を洗い過ぎない

髪や頭を洗いすぎないことも白髪対策としては大切です。
過剰なシャンプーは頭皮の健康を保つために、必要な皮脂まで洗い落としてしまいます。
そうすると、頭皮のバリア機能である皮脂膜が失われて雑菌が入りやすくなり、白髪になる恐れがあります。

シャンプーは1日1回までにしましょう。
また、シャンプーをする際は正しい手順で行うことも大切です。
下の記事で正しいシャンプーの方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

頭皮ケアで頭皮を健康な状態に保つ

頭皮ケアで頭皮を健康な状態に保つことも重要です。
メラニン色素を生成するメラノサイトは、頭皮の環境が整っていないと十分に働くことができません。

一番手軽な頭皮ケアは頭皮マッサージです。
シャンプーの際などにマッサージを行うことで頭皮の血行が改善され、メラニン色素が生成されやすい環境を作ることができます。

白髪が生えてしまっても「歳のせい」と諦めずに、出来ることからセルフケアを行ってみてください。
頭皮マッサージの方法は下の記事で紹介しています。

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