
男性ホルモンと薄毛との関係性は?髪の毛が抜ける原因と対策をチェック!
「男性ホルモンって薄毛と関係あるの?」
「薄毛予防の方法が知りたい」
男性ホルモンは男性型脱毛症(AGA)の発症と関係していますが、多くても薄毛になるわけではありません。
また、薄毛になりやすい人でも、対策をすれば予防できます。
この記事では薄毛について心配し予防をしたいと思っている方に向けて、以下のことをわかりやすく説明します。
- AGAが発症するメカニズム
- 薄毛の原因と薄毛になりやすい人の特徴
- 薄毛予防と進行抑制に有効な対策
この記事を読んで薄毛の原因や予防・進行抑制の具体的な対策を知り、適切な薄毛予防を始めましょう。
この記事の監修者

- 薬剤師
-
薬剤師歴15年
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
患者さんの悩みに真摯に向き合うことをモットーとしている
最新の投稿
- 2022.07.01薄毛・AGA【薬剤師監修】AGAってどうやって見分ける?特徴や初期症状を解説
- 2022.07.01薄毛・AGA【薬剤師監修】薄毛(はげ)と遺伝は関係ある?薄毛のメカニズムや原因を解説
- 2022.07.01薄毛・AGA【薬剤師監修】AGAの治療はいつまで続けたらいい?途中でやめることはできるの?
- 2022.07.01薄毛・AGA女性のつむじはげを治すには?原因や対処法、隠す髪型まで解説
男性ホルモンが多い=薄毛になるというわけではない
男性ホルモンが多い人が薄毛になるという医学的根拠はありません。
「男性ホルモンが多いと薄毛になる」と誤解されるのは、AGAと関係しているDHT(ジヒドロテストステロン)が、テストステロンから変換されるものだからです。
しかし、テストステロンは複数ある男性ホルモンの一種で、テストステロン自体に薄毛を進行させる働きはありません。
テストステロンは10代~30代に多く分泌されます。
しかし、10代~30代の男性がAGAになりやすいわけではありません。
このことからも「男性ホルモンが多い=薄毛になるというわけではない」とわかります。
薄毛になる原因を理解するために知っておきたい2種類の男性ホルモン
男性ホルモンの中で薄毛に関係しているのは以下の2つです。
- テストステロン
- ジヒドロテストステロン
薄毛になる原因を理解しやすいように、まずこの2種類の男性ホルモンについて説明します。
テストステロン
テストステロンは精巣や副腎で作られる男性ホルモンの一種で、精巣や前立腺などの男性生殖器の発育に関係しています。
また、筋肉や骨量の維持・増加、体毛の成長などの働きがあるのです。
テストステロンは思春期になると分泌量が増え、30代以降徐々に減少していきます。
もっとも個人差があり、40代や50代になっても30代と同じぐらいの分泌量を維持している方もいます。
テストステロンは心身の健康を保つために重要な役割を果たしているため、分泌量が減少すると心身の不調をきたしかねません。
「薄毛の原因は男性ホルモンだから」といって、意図的にテストステロンを減らそうとしないようにしてください。
「テストステロンが少ないかどうか」はセルフチェックすることもできます。
詳しくは下の記事をご覧ください。

ジヒドロテストステロン(DHT)
DHTは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで変換されるホルモンです。
胎児期においては男性生殖器の発育に影響し、思春期には声変わりやヒゲや腋毛の発育、精子の形成などの役割を担っています。
このようにDHTは男性が成長する上で大切な役割を担っていますが、前立腺肥大症の原因やAGA発症の原因ともなっているホルモンです。
そのため「悪玉ホルモン」などと呼ばれることも少なくありません。
詳しくは下の記事でも解説しています。

AGA(男性型脱毛症)が発症するメカニズム
DHTがAGAの発症に関係していることは上記でご紹介しました。
続いて、AGA発症のメカニズムを以下の3段階にわけて説明します。
- テストステロンが「5αリダクターゼ」と結合してDHTに変化する
- DHTはアンドロゲンレセプターと結合して「TGF-β」を増加させる
- ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行する
①テストステロンが「5αリダクターゼ」と結合してDHTに変化する
精巣や副腎から分泌されたテストステロンは、血液に混ざって体中を流れています。
テストステロンが頭皮に到達すると、5αリダクターゼという酵素によってより強力な男性ホルモンであるDHTに変換されます。
このようにDHTの生成量は、テストステロンの量だけでなく、5αリダクターゼの活性度が関係しているのです。
②DHTはアンドロゲンレセプターと結合して「TGF-β」を増加させる
変換されたDHTは、生え際や頭頂部付近の毛乳頭細胞にあるアンドロゲンレセプター(アンドロゲンレセプター)と結合するとTGF-βが増加します。
TBF-βとはたんぱく質の一種で、毛乳頭や毛母細胞の働きを抑制する脱毛因子です。
また、初期のがん細胞に対して増殖を抑制する働きがあるといわれています。
③ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行する
TGF-βは、毛乳頭や毛母細胞の働きを抑制する働きがあるため、TGF-βが増加するとヘアサイクルが乱れ成長期が短くなってしまいます。
その結果、髪の毛が十分に成長することなく短く細い状態(軟毛化)で抜け落ちるようになり、少しずつ薄毛になってしまうのです。
AGAをそのまま放っておくと髪の毛が薄くなるだけでなく、毛穴が塞がり生えてこなくなってしまうこともあります。
【注意】テストステロンは多くても少なくても薄毛につながる
テストステロンが適切な範囲内にないと薄毛につながります。
DHTの生成量は、テストステロンの分泌量と5αリダクターゼの分泌量や活性度によって決まるからです。
「変換前のテストステロンが少なければDHTの生成量も少なくなりAGAが発症しにくくなるのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、そうではありません。
テストステロンの分泌量が少なくなると5αリダクターゼの活性が高まってしまい、DHTの生成量が増え薄毛につながると考えられています。
薄毛の原因と薄毛になりやすい人の特徴
薄毛の原因は以下の5つが考えられます。
- 遺伝的要因
- 血行不良
- 皮脂の過剰分泌
- 不健康な生活習慣
- 外的刺激
遺伝的要因以外は直接的な原因ではありませんが、薄毛につながる可能性があるものです。
それぞれ詳しく説明していきます。
遺伝的要因
薄毛には遺伝が深く関係しています。
薄毛と深い関係があり「遺伝で引き継ぎやすい」と考えられている要素は以下の2つです。
- 5αリダクターゼの活性度
- アンドロゲンレセプターの感受性
5αリダクターゼの活性度が高ければテストステロンから変換されるDHTが多くなり、AGAが発症する可能性が高くなります。
5αリダクターゼの活性度が高い遺伝子は優性遺伝することがわかっています。
つまり、両親のどちらかでも5αリダクターゼの活性度が高い遺伝子を持っていたら、子供に受け継がれやすくなるのです。
また、アンドロゲンレセプターの感受性が高ければ、アンドロゲンレセプターとDHTと結合しやすくなり、TGF-βが増加してAGAが発症する可能性が高まります。
アンドロゲンレセプターはX染色体に存在することがわかっているため、母方の家系にアンドロゲンレセプターの感受性が高い人がいると、受け継ぐ可能性があります。
親族に薄毛の方がいても、かならずしも遺伝するわけではありません。
しかし、親族に薄毛の方が多く自分にも兆候が現れたときは、出来るだけ早く対策することをおすすめします。
血行不良
血行が悪くなると、髪の毛が十分に成長できず抜けやすくなってしまう可能性があります。
髪の毛の成長に必要な栄養は血液とともに送られるため、毛母細胞に届きにくくなってしまう恐れがあるのです。
血行不良を引き起こす可能性がある要因は以下のとおりです。
- 運動不足
- ストレス
- 喫煙
- 冷え
- 栄養バランスの乱れ
- 睡眠不足
- 頭皮の乾燥
- 毛穴の詰まりなど
心当たりのある方は、髪の毛に悪い影響が現れる前に改善をおすすめします。
皮脂の過剰分泌
皮脂が過剰分泌されると、頭皮環境が悪化する可能性があります。
頭皮環境の悪化は抜け毛の原因になる可能性があるため、注意が必要です。
皮脂分泌量が増える理由は以下のとおりです。
- 男性ホルモンの過剰分泌
- 洗髪のし過ぎ
- 脂っぽい食事が多い
- 過度なストレスなど
皮脂の過剰分泌は頭皮の血行不良を引き起こし髪に悪い影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ早く対策することをおすすめします。
不健康な生活習慣
不規則な生活習慣も、髪の毛の成長に悪い影響を及ぼすと考えられています。
髪の毛の成長に悪い影響を与える主な生活習慣と理由は以下のとおりです。
睡眠不足 | 睡眠中に髪の毛の成長に必要なホルモンを分泌します。睡眠不足だとこれらのホルモンの分泌が正常に行われない危険性があるのです。また、睡眠不足は過度なストレスを感じる原因にもなります。 |
過度なストレス | 過度なストレスは血管の収縮や皮脂の過剰分泌などを引き起こし、頭皮の環境悪化につながります。また、自律神経やホルモンバランスの乱れも引き起こし、ヘアサイクルの乱れにつながる可能性があります。 |
運動不足 | 運動不足は全身の血行不良の原因になります。ストレスも髪の毛の成長にあまり良くないことは紹介しましたが、適度な運動をすれば爽快感や達成感を感じストレスの発散にもつながることが期待できるのです。また、運動をして汗をかくと、AGA発症の原因であるDHTを汗とともに体外に排出できるという報告もあります。 |
喫煙 | タバコに含まれているニコチンは頭皮の血管を収縮させ血行不良を引き起こすため、髪の毛の成長に必要な栄養が毛母細胞に十分運ばれなくなる可能性があります。 |
外的刺激
外的刺激も髪の毛の成長には悪い影響を及ぼすと考えられています。
具体例としては以下のようなものがあります。
- 洗浄力が強いシャンプーを使い必要な皮脂まで洗い落としてしまった
- 髪の毛が長く邪魔になるのでいつもきつく結んでいる
- ドライヤーの熱風を頭皮に当てすぎている
- 日傘や帽子などの紫外線対策をしたことがない
頭皮や髪の毛にダメージを与えることは、薄毛を招く要因になる可能性があります。
これらは薄毛の直接的な原因ではありませんが、髪の毛の成長に悪いと考えられているためできるだけ避けましょう。
薄毛予防&進行抑制に有効な4つの対策
最後に、薄毛予防と進行抑制に有効な4つの対策をご紹介します。
- 生活習慣を改善する
- 頭皮ケアをする
- 市販の育毛剤や発毛剤を使用する
- AGA治療を受ける
薄毛はさまざまな要素が作用し合って発症すると考えられています。
対策も1つだけおこなうのではなく、すべてやってみましょう。
生活習慣を改善する
薄毛予防対策として、今すぐにできることが生活習慣の改善です。
具体的には以下のようなものがあります。
- バランスの取れた食事
- 十分な睡眠
- ストレスの解消
- 適度な運動
- 禁煙
偏った食事をとっていては、髪の毛の成長に必要な栄養を補給できません。
また、睡眠不足は寝ている間に分泌される髪の毛の成長に必要なホルモン分泌を妨げる可能性があります。
ストレスの解消や適度な運動、禁煙は血行改善効果が期待できます。
これらの生活習慣を改善したからといって、薄毛予防や進行抑制になるという医学的根拠はありません。
しかし、髪の毛の成長にはよい影響を及ぼすため、改善することをおすすめします。
頭皮ケアをする
頭皮マッサージは頭皮の血行改善につながるといわれています。
頭皮の血行がよくなると、髪の毛の成長に必要な栄養が毛母細胞に運ばれやすくなります。
AGAは男性ホルモンが原因で発症するため、頭皮マッサージをしたからといって解消につながるわけではありません。
ただ、頭皮環境を整えることにつながるため実践してみてください。
詳しくは以下の記事でも解説しています。

市販の育毛剤や発毛剤を使用する
薄毛予防や進行抑制のために、市販されている育毛剤や発毛剤を使う方法があります。
特に発毛剤はクリニックで診察を受けなくてもドラッグストアなどで購入でき、ある程度、薄毛の改善も期待できる点がメリットです。
育毛剤には、発毛に関する医学的根拠がある成分は配合されていません。
もっとも、頭皮の環境を整える目的で使用する意味はあります。
発毛剤にはクリニックのAGA治療でも使うミノキシジルが配合されています。
ただ、商品によって価格が大きく異なるので注意してください。
ミノキシジル濃度が国内最大級かつ1本あたり3,000円の発毛剤はこちらで紹介しています。
AGA治療を受ける
AGAによる薄毛の場合は、クリニックで医師に診察してもらい医師の指導のもと適切な治療を始めましょう。
ひとりでAGA対策をしても限界がありますし、クリニックに行けば医学的に根拠がある治療を受けられるからです。
AGA治療の標準的な治療方法は以下の2つです。
- ミノキシジル外用薬
- フィナステリド内服薬
これらはどちらも効果が現れるまでに平均で約半年かかるため、諦めずに粘り強く治療をする必要があります。
半年~1年試しても効果が認められない場合は、他の薬を試すことや、発毛因子を頭皮に注入し発毛を促す治療も選択できます。
また、AGAの治療は、早く始めればそれだけ改善しやすいことがわかっています。
少しでも髪の毛が薄くなってきたと感じたらできるだけ早くクリニックに行って、医学的根拠のある治療を受けるようにしましょう。
まとめ
男性ホルモンと薄毛の関係性、髪の毛が抜ける原因と対策についてまとめます。
- 男性ホルモンが多いからといって薄毛になるわけではない
- AGAにはテストステロンとジヒドロテストステロンという2種類の男性ホルモンが関係している
- AGA発症の主な原因は遺伝的要因だがさまざまな要素が作用し合っている発症する
- 薄毛予防と進行抑制に最も有効な対策はクリニックに行きAGA治療を受けること
AGA発症予防のために日頃から生活習慣を見直し、少しでも薄毛の兆候を感じたらクリニックに行って医師の診察を受けるようにしましょう。
