
【薬剤師監修】クレアチンははげる?DHTレベルが上がるという報告あり!
筋トレをして、筋力UPサプリメントを飲んでいるかたは、一度は「クレアチニンははげるって本当?」という心配を抱いたことがある人も多いと思います。
効率の良い筋肉の動きには欠かせないクレアチンですが、結論を言うと「クレアチンがはげる」という確実なエビデンスはないものの、不安な方は飲まないようにするのがおすすめです。
この記事では、そんなクレアチンとはげの関係性やAGAの原因などを解説します。
【結論】クレアチンがはげるかどうかは真偽不明
クレアチンとはげの関係性ですが、2021年時点でわかっていることをまとめると以下のとおりです。
- 過去にDHTレベルが上昇したケースがある
- 確実なエビデンスは不明
それぞれ解説します。
過去にDHTレベルが上昇したケースがある
2009年にステレンボッシュ大学がおこなった研究です。
ラグビー選手に3週間クレアチンを補給してもらい、DHT(ジヒドロテストステロン)がどのように変化したかを調べました。
結果は以下のとおりです。
After 7 days of creatine loading, or a further 14 days of creatine maintenance dose, serum T levels did not change. However, levels of DHT increased by 56% after 7 days of creatine loading and remained 40% above baseline after 14 days maintenance (P < 0.001). The ratio of DHT:T also increased by 36% after 7 days creatine supplementation and remained elevated by 22% after the maintenance dose (P < 0.01).
出典:National Library of Medicine
<日本語訳>
クレアチン補給の7日後、またはクレアチン維持用量のさらに14日後、血清Tレベルは変化しませんでした。 ただし、DHTのレベルはクレアチン補給の7日後に56%増加し、14日間の維持後にベースラインを40%上回ったままでした(P <0.001)。 DHT:Tの比率も7日間のクレアチン補給後に36%増加し、維持量後も22%上昇したままでした(P <0.01)。
このように「DHTのレベルが56%増加した」と報告されています。
以上の点から「過去にクレアチンを飲んでDHTレベルが上昇したケースがある」というのは間違いありません。
確実なエビデンスは不明
一方で、上記した報告にはこのような続きもあります。
Creatine supplementation may, in part, act through an increased rate of conversion of T to DHT. Further investigation is warranted as a result of the high frequency of individuals using creatine supplementation and the long-term safety of alterations in circulating androgen composition. STATEMENT OF CLINICAL RELEVANCE: Although creatine is a widely used ergogenic aid, the mechanisms of action are incompletely understood, particularly in relation to dihydrotestosterone, and therefore the long-term clinical safety cannot be guaranteed.
出典:National Library of Medicine
クレアチンの補給は、部分的には、TからDHTへの変換率の増加を通じて作用する可能性があります。 クレアチンサプリメントを使用する個人の頻度が高く、循環アンドロゲン組成の変化の長期的な安全性の結果として、さらなる調査が必要です。 臨床的関連性の声明:クレアチンは広く使用されているエルゴジェニックエイドですが、特にジヒドロテストステロンに関しては、作用機序が完全には理解されていないため、長期的な臨床的安全性を保証することはできません。
完全に解明されたわけではなく、「さらなる調査が必要」と結論づけています。
一方で「DHTに関しては安全性を保証できない」と述べているため、抜け毛を気にする方はできる限りクレアチンの補給を避けたほうがいいでしょう。
以上をまとめると、たしかに「DHTレベルが上がった事実」はあるものの、調査は非常に限定的であるため、現時点では「クレアチンを飲むとはげる」とは言い切れません。
科学的に実証されているAGAの原因
大事なのは「科学的に実証されているAGAの原因を把握しておくこと」です。
科学的に実証されているAGAの原因として挙げられるのが以下の2点です。
- 男性ホルモン
- 遺伝
それぞれ解説します。
男性ホルモン
もっとも大きな原因は、上述もしましたがDHT(ジヒドロテストステロン)です。
なぜなら、DHTは毛母細胞にダメージを与える脱毛因子や脱毛タンパクを分泌するからです。
具体的に言うと、5αリダクターゼという酵素が男性ホルモンをDHTに変えることによってAGAは発症します。
クレアチンはあくまで「服用している間のDHTを増やす可能性がある」というだけであり、情報は非常に限局的です。
そのため、常用するのでなければクレアチンによってDHTが増えるのは「一時的である」と考えられます。
クレアチンを飲むことによって「AGAが発症しやすくなる」とは言えない可能性が高いので、安心してください。
遺伝
また、クレアチンによってDHTが増えても、すぐに「抜け毛の増加につながる」とは言えません。
DHTが脱毛因子や脱毛タンパクを放出するのは「アンドロゲンレセプター」と呼ばれる受容体に結びついたときだからです。
したがってDHTが増えても、アンドロゲンレセプターの感度が弱ければAGAは発症しないのです。
アンドロゲンレセプターの感度はX染色体を通して遺伝するとわかっています。
つまり、母方の祖父がAGAなら自分もAGAになりやすいわけですね。
「AGAになりやすい人の特徴」に関しては、下の記事でもまとめています。
はげるリスクを気にするならプロテインで代用
はげるリスクを気にするなら、クレアチンよりプロテインがおすすめです。
プロテインには「DHTが増えた」といった報告はないからです。
むしろ、プロテインは髪の生成に必要なタンパク質を効率的に摂取できます。
プロテインに関しては以下の記事で詳しくまとめています。
まとめ
クレアチンについてまとめます。
- 「クレアチンはDHTのレベルを上げる」といった報告は存在する
- ただし、限定的な調査なので「クレアチンははげる」とは言い切れない
- 気になる場合はプロテインで代用する
「クレアチンは飲まないから」といって、はげないとは限りません。
AGAは日本人男性の約30%に発症の可能性がある、と言われているからです。
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この記事の監修者

- 薬剤師
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薬剤師歴15年
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
患者さんの悩みに真摯に向き合うことをモットーとしている
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