コーヒーは、さまざまな理由で「つい飲みすぎてしまう」という方も少なくありません。
そういった点から、「最近髪が薄くなってきたのはコーヒーを飲みすぎたせいかも」などと考える方もいるでしょう。
結論から言えば、コーヒーはAGA(男性型脱毛症)に関係がない一方で、髪に対して「さまざまなメリット・デメリットがある」と言われています。
この記事では、「コーヒーははげるのかどうか」について徹底解説します。
コーヒーの飲みすぎははげる?
そもそも「はげ」とは一般的に「薄毛」を意味しますが、これは「AGAの症状によるもの」であることが多いです。
そのため、ここでは「コーヒーの飲みすぎ」が「AGAの症状に関わってくるかどうか」について説明します。
はげ(AGA)には関係しない
結論から言えば、「コーヒーの飲みすぎ」はAGAの症状になんの関係もありません。
その理由は、AGAの原因がDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンにあるからです。
AGAは、5αリダクターゼという酵素がテストステロンを抜け毛作用のあるDHTに変えてしまうことで発症します。
コーヒーを飲んでも、5αリダクターゼやDHTに影響を与えるわけではありません。
後述もしていますが、一部「DHTを抑制する効果がある」という情報はあるものの、科学的なエビデンスがあるわけではないので気をつけてください。
以上のことから、コーヒーを飲みすぎてもAGAが進行する(はげる)ことはないのです。
抜け毛の原因になる恐れはある
AGAではないものの、抜け毛の原因になる恐れはあります。
詳しくは「コーヒーの髪に与えるデメリット」で解説しますが、コーヒーを飲みすぎることによって体調不良を起こし、髪が成長せずに抜けてしまう可能性も否定できません。
ただし、こういった一時的な抜け毛は食生活の見直しや頭皮環境の改善などによって回復する可能性があります。
一方、AGAは治療しない限りどんどん進行し、最終的には毛母細胞が死滅して髪が生えなくなってしまいます。
コーヒーの飲みすぎ以前に「AGAかもしれない」と感じる場合、早めに治療をはじめるべきです。
こちらの記事で「はげるかもしれない人の特徴」をまとめているので、参考にしてみてください。
コーヒーの髪に与えるデメリット
上で解説したとおり、コーヒーの飲みすぎは一時的な抜け毛につながる恐れがあります。
そこで、ここでは具体的にどういったデメリットがあるのかを説明します。
クロロゲン酸・タンニンが亜鉛の吸収を妨げる恐れがある
コーヒーを飲みすぎると、髪の成長を妨げてしまう可能性があると言われているので気をつけてください。
どういうことかというと、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やタンニンが亜鉛の吸収を妨げる恐れがあるのです。
さらに、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やタンニンは鉄分や亜鉛などの吸収を阻害する効果がありますので、一日中コーヒーを飲んでいると、鉄分不足による貧血に悩まされることもあるでしょう。
ただし、こちらは科学的なエビデンスがあるわけではないので注意してください。
SBC湘南美容外科クリニックでは、このように記載されています。
またコーヒーに含まれているタンニンには、髪の毛の成長にとって必要な亜鉛の吸収を妨げる働きがあることも分かっています。そのため薄毛のリスクが高くなるというのです。
ただしいずれの説にも信憑性のあるエビデンスはありません。あくまで一説として留めておきましょう。
いずれにせよ、「亜鉛」が髪の発育にとって大切な栄養素であることに変わりはありません。
亜鉛は「髪の3大栄養素」の一つと言われており、髪の生成に重要な役割を果たしているからです。
髪の主成分である「ケラチン」を作るために、アミノ酸を再結合するサポートを担っているのです。
亜鉛が足りないとアミノ酸がケラチンに再結合されず、十分に髪が育ちません。
亜鉛に関しては、こちらの記事をご覧ください。
飲み過ぎによる健康被害
コーヒーは飲みすぎるとさまざまな健康被害を引き起こします。
最悪の場合、カフェイン中毒を発症する恐れがあり、以下のような症状が出る危険性もあります。
- 吐き気、嘔吐
- 手足のしびれ
- 動悸
- 悪寒
- 意識消失
- 心肺停止
体に不調が現れると、髪の発育不足や頭皮環境の悪化に繋がりかねません。
「どのくらいなら大丈夫なのか」という摂取目安は国内においてありませんが、欧州食品安全機関(EFSA)によると「400mg/日」とされています。
習慣的カフェイン摂取量が400mg/日以下であれば、妊婦を除く成人に安全性の懸念は生じない。
一般的に、コーヒーには100mlに約60mgのカフェインが含まれています。(参考:全日本コーヒー協会)
このことから、毎日コーヒーを飲む人は「約650ml以下に抑えるべきである」と言えるでしょう。
コーヒーが髪に与えるメリット
続いて、コーヒーが髪に与えるメリットも紹介します。
以下のようなメリットがあるものの、「コーヒーはAGAを治療できる・改善できるものではない」ことに注意してください。
DHTを抑制する効果がある、と言われている
一部で、コーヒーに含まれているカフェインは「DHTを抑制する効果がある」と言われています。
また、NYにある「Hudson Dermatology and Laser Surgery」の創設者で皮膚科医のダヴァル・バヌサリさんは、カフェインは抜け毛に関連するホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」を自然に抑制すると説明する。
この情報が正しければ、コーヒーを飲むことでAGAの改善に少なからずプラスの作用が期待できる可能性はあります。
ただし、科学的なエビデンスは認められていないため、過信するのはおすすめできません。
あくまで「DHTの抑制に効果がある、と言っている人がいる」程度に、情報として把握しておくのがおすすめです。
日本においてDHTの抑制効果が科学的に認められているのは、以下の2つだけです。
- フィナステリドの内服
- デュタステリドの内服
頭皮環境を改善させる、と言われている
コーヒーに含まれているカフェインは、「頭皮環境を改善させる」と言われています。
その理由は、カフェインに「血管拡張作用」があるからです。
血管を収縮させる作用があるため、血管の拡張によって起こる頭痛に効果があり、頭痛薬や風邪薬の成分としてもカフェインが使われています。
つまり、血行が促進され、頭皮に栄養素や血流が行き渡りやすくなる、とされているのです。
ただし、こちらはAGAの治療・改善にはならないため、「血行が促進されたから」といって髪が増えるわけではないので注意してください。
コーヒーにまつわる疑問にお答え!
以上のことから、「コーヒーはAGAと関係がない。血行促進効果があるのはたしかだが、飲みすぎると健康被害を引き起こす恐れがある」と説明しました。
最後に、コーヒーにまつわるさまざまな疑問に回答します。
コーヒーで髪を洗うと頭皮に良い?
ネットニュースには「コーヒーには育毛効果がある」と報じているものがあります。
コーヒーに含まれるカフェイン成分が新しい毛母細胞の出現を促進するなど、さまざまな育毛効果があることが、ドイツの研究者たちにより分かったという。ただし、有効成分をコーヒーからとろうとすると1日60〜80杯程度飲む必要があるので、頭皮に直接コーヒーを塗る必要があるという。
結論を言えば、あくまで「育毛効果があるかもしれない」という情報であり、カフェインに「発毛」は認められていません。
国内において発毛効果が認められている成分はミノキシジルだけです。
「育毛効果がある」という情報も科学的なエビデンスがあるわけではない点から、過信しないほうがいいでしょう。
AGA治療してるけどコーヒー飲んでもいい?
問題ありません。
内服薬・外用薬、どちらの場合もコーヒーを飲んでも治療の妨げとはならない可能性が高いので安心してください。
ただし、上述のとおり飲み過ぎには十分注意しましょう。
まとめ
「コーヒーの飲み過ぎははげるのか」についてまとめます。
- コーヒーとAGAにはなんの関係もない
- なぜなら、AGAの原因はDHTにあるから
- ただし、飲み過ぎによる健康被害から抜け毛につながる恐れはある
- コーヒーの発毛効果・育毛効果は過信しないほうがいい
- AGA治療には影響しない可能性が高い
「コーヒーを飲みすぎたから」といってAGAが進行しはげるわけではありません。
ただ、「AGAかもしれない」と感じたら、すぐにでも対策をはじめましょう。
この記事の監修者

- 毛髪診断士
-
公益社団法人日本毛髪科学協会が認定する「毛髪診断士®」
(19年12月取得|認定番号:第A20185号)
AGAアプリ「HIX」専属の毛髪診断士として、3千人以上の方の相談やカウンセリングなどを担当
最新の投稿
- 2022.02.15生活習慣【毛髪診断士監修】湯シャンは効果なし?おすすめしない理由4選
- 2022.02.15薄毛・AGA【毛髪診断士監修】生え際が後退する3つの原因って?治療法も解説
- 2022.02.15生活習慣【男性必見】かっこいい40代男性になれる5つのポイントとは?
- 2022.02.09生活習慣【毛髪診断士監修】イケオジになれる髪型4選|髪型の選び方やするべきことも解説