ポストフィナステリド症候群とは|症状、原因、予防方法について説明

ポストフィナステリド症候群とは|症状、原因、予防方法について説明

フィナステリドを内服している方やこれから使用を検討している方の中には、「ポストフィナステリド症候群」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。

最初にお伝えしておくと、「ポストフィナステリド症候群」は主に海外などで使用されているフィナステリド5㎎で報告はあるものの、国内で広く使用されているフィナステリド1㎎において明らかな報告はこれまでありません。

ですが、フィナステリドを服用されている方、これから服用を検討している方には是非知っておいていただきたい副作用の一種です。

この記事では、ポストフィナステリド症候群の症状や原因、これまでの報告内容などについて説明します。

ポストフィナステリド症候群とは

ポストフィナステリド症候群は、「ポストフィナステリドシンドローム」「PFS」とも呼ばれます。

AGA治療薬として使われる「フィナステリド」の副作用が、服用を中止しても継続するという状態を意味します。

改めて説明すると、フィナステリド(商品名:プロペシア)はテストステロンを抜け毛作用のあるDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させるという酵素、「5αリダクターゼ」の働きを阻害する薬です。

フィナステリド デュタステリド

5αリダクターゼが阻害されるとDHTが産出されづらくなるので、AGAの進行を食い止めることができるわけです。

ただし、どんな薬も同じですが、フィナステリドには副作用があります。

本来なら副作用は服用を中断すると止まりますが、それが「永続してしまう」というのがポストフィナステリド症候群と呼ばれる状態なのです。

ポストフィナステリド症候群の症状

ポストフィナステリド症候群の症状は、リビドー消失や勃起不全といった性機能障害や、メンタルに関する不調が報告されています。

国際抗老化再生医療学会に寄せられた「臨床発毛医学の現状と展望 2018」の記事では、以下のように記載されています。

米国のAGA治療薬プロスカー(フィナステリド5mgという日本のプロペシアの5倍のお薬)を長年内服している患者で,内服を中止しても神経内分泌の以上が継続し,リビドー消失,勃起不全,ペイロニー病,うつや自殺企図などになやまされるというもので,最近 NIH の遺伝病希少病のリストに追加された(図 4).

引用:「臨床発毛医学の現状と展望 2018」

ここで注意しなければならないのが、「フィナステリド5mg」という点です。

1錠中に含有量1mgを超えるフィナステリドは、国内において承認されていません。

では、「フィナステリド1mg」はどうなのかというと、「臨床発毛医学の現状と展望 2018」でも「報告されていない」と紹介されており、現時点(2021年5月)においてもポストフィナステリド症候群の報告はありません。

ただ,日本での承認薬フィナステリド 1mg についての長期予後についての危険性については未だ明らかでは無い.本邦の5年までの連続投与ではPFSや前立腺がん悪性化などの報告は無いようである.

引用:「臨床発毛医学の現状と展望 2018」

ただ、フィナステリド自体に副作用があることは事実です。

フィナステリドの副作用には、性機能障害や肝機能障害が挙げられます。

AGAの治療方針をまとめた「AGAガイドライン」には、このような記載があります。性機能障害については相対危険度が 1.39(95% CI,0.99~1.95)とフィナステリド投与群がプラセボ群より上昇する傾向があるとしている29).

…(中略)…

重要な副作用として,頻度は明らかではないが,まれに肝機能障害があらわれることがある.

引用:AGAガイドライン

もっとも、副作用が発生する確率は極めて低いです。

フィナステリド錠を製造しているMSD製薬の報告をご覧ください。

943例中 5 例(0.5%)に 5 件の副作用が認められた。主な症状はリビドー減退 2 例(0.2%)、肝機能障害 2 例(0.2%)等であった。〔再審査終了時〕

引用:「プロペシア錠 添付文書」

ポストフィナステリド症候群の症状・フィナステリドの副作用についてまとめましょう。

  • ポストフィナステリド症候群の症状が報告されているのは、フィナステリド5mgを長年服用した場合
  • 日本では、フィナステリドの上限は1mgしか承認されていない
  • 「フィナステリド1mg」の服用を続けた場合のポストフィナステリド症候群は報告されていない
  • フィナステリド自体に副作用はあるが、発生する確率は0.5%程度

ポストフィナステリド症候群の原因

ポストフィナステリド症候群の原因はわかっていません。

テストステロンの生成量減少から起こる説、神経ステロイドの生成量減少から起こる説など、さまざまな説があります。

PFSになる原因は、脳内の神経ステロイドの減少が原因という研究論文が発表されています。

引用:AI 和合クリニック「ポストフィナステリド症候群 フィナステリドでAGA治療する人へ」

ただし、あくまで「説」であり、科学的に立証されているわけではないので気をつけてください。

そもそも「服用中止後に副作用が続くという症状」が、フィナステリド(プロペシア)と関係するかどうかも判明していないのです。

原因がわかっていないからこそ、治療法も見つかっていません。

国内におけるポストフィナステリド症候群

「原因がわかっていない」「治療法がない」という点から、「ポストフィナステリド症候群は怖い」と考える方もいるでしょう。

繰り返しますが、国内においては報告自体されていない上に、内服薬のフィナステリド含有量は海外よりも低いです。

国内において報告はない

「臨床発毛医学の現状と展望 2018」の引用でも紹介しましたが、国内においてポストフィナステリド症候群の報告はありません。

フィナステリドの副作用自体は報告されていますが、ポストフィナステリド症候群の症状である「服用を中止しても副作用が収まらない」というのは今のところ見つかっていないのです。

より正確に言うと、「国内で承認されているフィナステリド1mgの服用」においては、ポストフィナステリド症候群の症状は報告されていません。

添付文書で注意喚起している

ただ、添付文書で注意喚起している製薬会社もあります。

たとえば、MSD社の「プロペシア錠」と沢井製薬のジェネリック医薬品「フィナステリド錠」は、添付文書に「市販後において、投与中止後も持続したとの報告がある」という一文が添えられています。

ポストフィナステリド症候群を防ぐには

ポストフィナステリド症候群は、原因も治療方法も見つかっていない症状です。

だからこそ、そういう状態にならないよう予防するのが大事です。

海外のフィナステリド薬剤を個人輸入しない

まず、ポストフィナステリド症候群が報告されているのは「フィナステリド5mg」の内服薬です。

国内で「フィナステリド5mg」は承認されておらず、手に入れるためには基本的に個人輸入するしかありません。

しかし、個人輸入にはさまざまなリスクがあるので注意してください。

たとえば、こういったリスクがあります。

  • 「医薬品副作用被害救済制度」の対象にならない(何か起きた場合は自己責任となる可能性が高い)
  • 偽物を買ってしまう
  • 説明書の文書が理解できず、誤った服用・取り扱いをしてしまう

個人輸入は犯罪ではありませんが、このようなリスクがあることを承知しておくべきです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【薬剤師監修】個人輸入は本当に大丈夫?!AGA治療薬個人輸入のメリットとリスク

処方を受ける際はしっかり医師と相談する

前提として、国内においてポストフィナステリド症候群の報告はありません。

そして、フィナステリドは副作用が発生する可能性も極めて低いです。

とはいえ、「だから自分も大丈夫」と医師の処方を受けずに個人輸入で手に入れるのは、上述したようにリスクがあるので注意してください。

万全な状態でAGA治療をはじめるためにも、処方を受ける際にはしっかりと医師に相談しましょう。

忙しい方や「クリニックに行くのが恥ずかしい」と感じる方は、ビデオ通話などによるオンライン診療を利用するのもおすすめです。

まとめ

ポストフィナステリド症候群についてまとめます。

  • 「フィナステリド5mg」の内服薬は「服用中止後も副作用の症状が続く」という報告がある
  • ポストフィナステリド症候群の原因・治療法は不明
  • ただし、国内において報告はなく、フィナステリド含有量も「1mg」までしか承認されていない
  • フィナステリド自体に副作用はあるが、起こる可能性は極めて低い
  • だからといって個人で薬を手に入れるのではなく、かならず医師に相談して処方してもらうべき

ポストフィナステリド症候群の症状は、男性にとって辛いものです。

しかし、きちんと医師の診断を受けていれば、過度にポストフィナステリド症候群の存在やフィナステリドの副作用を恐れる必要はないでしょう。

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