テストステロンは、男性が男らしく前向きに生きる上で非常に大事な役割を持つホルモンです。
しかし、AGAを気にする方の中には、「テストステロンが多いとハゲるんじゃないの?」と不安に思う方もいるでしょう。
この記事では、テストステロンが少ない男性の特徴を紹介し、AGAとの関係性について解説します。
テストステロンを測定する方法
テストステロンは、測定キットを使ったりクリニックを受診したりすることで測定できます。
たとえば、株式会社ダンテは「バディチェック」という商品を販売しているのですが、こちらを使えばテストステロンや精子濃度などを測定してくれるのです(参考:http://www.dantte.jp/buddy-check)。
テストステロンが少ないかどうかの基準
テストステロンが少ないかどうかは、こちらをご覧ください。
血中遊離テストステロン値 | テストステロン |
16.2pg/ml以上 | 正常 |
12.6pg/ml〜16.1pg/m | やや少ない |
12.5pg/ml以下 | 少ない |
測定して判明した数値がどの項目に当てはまるかを確認しましょう。
12.5pg/m以下だと、男性型の更年期障害である「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」の可能性が高いです。
測定キットなしで確認する方法
測定キットがない方は、こちらに自分が当てはまっているかチェックしてください。
こちらは「Aging Male Symptom (AMS)スコア」と呼ばれる、LOH症候群かどうかを確認するチェック方法です。
- 総合的に調子が思わしくない
- 関節や筋肉が痛い
- 運動などと関係なく汗が出る
- 寝付きが悪く、ぐっすり眠れない
- 日中眠くなったり疲れを感じたりする
- いらいらする
- 神経質になった
- 不安感がある
- 身体の披露や行動力の減退を感じる
- 筋力低下
- 落ち込みやすい
- 「人生の山は過ぎた」と感じる
- どん底にいるような気分
- ひげの伸びが遅くなった
- 性的能力が衰えた
- 朝立ちの回数が減った
- 性欲の低下
この項目に対して、当てはまるごとに1〜5まで点数をつけてみましょう。
たとえば、「関節や筋肉が痛い」に当てはまらなければ1点、「筋力低下」に強く当てはまれば5点、といった感じです。
合計を出したら、こちらをご覧ください。
- 26点以下:症状なし
- 27~36点:軽 度
- 37~49点:中程度
- 50点以上:重 度
つまり、26点以下であればテストステロンの値は正常値で、37点以上の場合は「低い」と考えられます。
50以上の場合は、早めに医療機関などを受診したほうがいいでしょう。
テストステロンが少ない男の特徴4選
冒頭でも触れましたが、テストステロンは男性にとって欠かせないホルモンです。
「ハゲると聞いたから」といってテストステロンを意図的に作らないような生活をしていると、このような特徴の男性になりかねません。
不安になりやすい
テストステロンの量は男性のメンタルを大きく左右すると言われており、多ければ多いほど行動的・積極的になりやすいです。
俗説として、「テストステロンが多すぎると凶暴化する」などと言われる場合もありますが、科学的な根拠はありません。
反対に、テストステロンが少ないと不安になりやすくちょっとしたことで落ち込んでしまうのです。
実際、LOH症候群はテストステロンの現象が原因とされているのですが、鬱や気分の落ち込みなどが症状として挙げられます。
集中が続かない
集中力の低下もテストステロンの減少が原因の一つと考えられます。
より具体的に言えば、集中力を含めた認知機能(高次精神機能)の働きが鈍くなってしまうわけです。
そのため、テストステロンが著しく減少すれば、ものを覚えにくくなったり学習能力や判断能力が低下したりする恐れがあります。
筋肉量が少ない
筋肉量はテストステロンと大きな関わりがある、とされています。
実際に、加齢とともにテストステロンが減少すると筋肉量も減ってしまう、という報告もあります(参考:日本人筋肉量の加齢による特徴)。
筋肉量が少ないため、ちょっとした運動ですぐに筋肉痛を引き起こしかねません。
逆に言えば、日頃からしっかりトレーニングや運動をすることで、老化によるテストステロンの減少を食い止められる可能性があるわけです。
性欲が弱い
テストステロンは精巣で作られます。
そのため、テストステロンの量が少なくなったということは、精巣が十分な機能を果たしていないと考えられるのです。
場合によっては勃起障害(ED)などを引き起こしてしまうこともあります。
「以前より性欲を感じなくなった」「最近、著しく性欲が減退している」こういった方は、テストステロンが少なくなっている可能性があるでしょう。
テストステロンが少ない男ははげにくい?
上の特徴に当てはまった男性は、テストステロンが少ないと言えるでしょう。
しかし、結論から言えば、「テストステロンが少ないから」といってはげにくいわけではありません。
AGAの原因
なぜそう言えるのか、まずAGAの原因について見ていきましょう。
AGAになる最大の原因は「男性ホルモンだ」と言われることが多いです。
男性ホルモンと言えばテストステロンをイメージする方もいるでしょうが、AGAの原因となるのは「DHT(ジヒドロテストステロン)」です。
DHTはテストステロンが「5αリダクターゼ」と結びついたことで生成される男性ホルモンで、脱毛タンパク質や脱毛因子を発生させます。
テストステロンが多くても「5αリダクターゼ」がなければDHTが生み出されることもないため、AGAになる可能性は極めて低くなると言えます。
つまり、はげやすいかどうかはテストステロンが多いか少ないかではなく、5αリダクターゼが多いか少ないか、なのです。
はげやすいのには他にも遺伝的な要因などがありますが、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
テストステロンが少ない男の改善方法
「テストステロンが少ないから」といってAGAになりにくいわけではない、ということは上で説明したとおりです。
AGAを回避しようとしてテストステロンを下げるのは、気分の落ち込みや筋肉量低下などのリスクがあり、メリットよりもデメリットのほうがはるかに大きいのです。
そこで、ここからはテストステロンが少ない男性の改善方法を解説します。
食生活を変える
テストステロンの量を増やしたい場合は、コレステロールの高い食事を意識しましょう。
なぜなら、テストステロンの原料はコレステロールだからです。
コレステロールの高い食べ物はこちらをご覧ください。
- 卵黄
- えび
- フォアグラ
- スモークレバー
- ぼら・からすみ
ただ、悪玉コレステロール値が高くなると逆に高血圧や生活習慣病の原因になりかねません。
野菜や豆類、ナッツなどと組み合わせて食生活が偏らないようにしましょう。
抜け毛・薄毛を気にする方は、コレステロールの他にたんぱく質や亜鉛も摂取するのがおすすめです。
髪は90%以上がケラチンと呼ばれるたんぱく質であり、亜鉛はケラチンの生成をサポートする働きがあります。
たんぱく質は日頃の食生活で十分な量を取り入れられる場合が多いですが、亜鉛は意識しないとなかなか摂取できません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
適度な運動
適度に運動すると、テストステロンが分泌されやすくなります。
1日30分を目安に、規則正しく運動を続けるのがおすすめです。
いきなりハードな運動をするとかえってテストステロンが減少してしまいかねないので、はじめはすこし息が切れるくらいの激しさを目安にしてください。
同時にフィナステリドやデュタステリドの服用
フィナステリド・デュタステリドは、ともに5αリダクターゼを抑える効果のあるAGA治療薬です。
5αリダクターゼの働きを抑えられればテストステロンがDHTに変わらないため、AGAの改善が期待できるわけです。
この2つはどちらも、AGA診療を科学的な根拠を元にまとめた「AGAガイドライン」において最高の推奨度(A:行うことを強く薦める)とされています。
ただ、作用する5αリダクターゼの種類が違うため、どちらを服用するべきかはこちらの記事を参考にしてください。